「自分の貯金額って同世代と比べてどうなんだろう?」
そんな疑問を持つ人に向けて、この記事では20代と30代の貯金額に関する「平均」と「中央値」の違いを、最新の公的データをもとにわかりやすく解説しようと思う。
「平均」と「中央値」は似ているようで、意味は大きく異なる。特にお金に関するデータでは、平均値は一部の高額貯蓄者の影響で大きく見える傾向があるため、実態とは異なる場合がある。対して中央値は、より多くの人の実生活に近い金額を反映しているといえる。
この記事では、実際の数値に加え、貯金額を比較するときの注意点や、自分なりの目標設定の考え方についても紹介していく。
「貯金額」に含まれるものとは?
一般的に「貯金」と聞くと銀行に預けているお金を思い浮かべることが多いけど、金融機関の調査で使われる「貯金額」は、もっと広い意味での「金融資産保有額」を指している。
具体的には、銀行やゆうちょの預金のほか、株式・投資信託、解約返戻金のある生命保険、債券、確定拠出年金(iDeCoなど)などが含まれる。つまり「現金の残高」だけでなく、将来的にお金として換金できる資産全体を示すのが「貯金額」とされているということ。
20代の貯金額|平均と中央値のギャップに注目
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、20代の平均金融資産保有額は以下の通り。
世帯区分 | 平均値 | 中央値 |
---|---|---|
単身世帯 | 約176万円 | 約103万円 |
2人以上世帯 | 約403万円 | 約171万円 |
総世帯 | 約151万円 | 約10万円 |
このように、平均と中央値の差が大きいことが一目瞭然。平均値は一部の高貯蓄者によって押し上げられており、実際には半数以上の20代が100万円未満の貯金しか持っていないというのが実態。
また、20代は社会人生活をスタートさせたばかりの時期で、奨学金の返済や引っ越し費用、生活基盤の整備など出費も多く、なかなか貯金に回す余裕がない人も多いのが現状だ。
30代の貯金額|収入増とライフイベントの影響
30代になると収入が安定する一方で、結婚や出産、住宅購入といった大きなライフイベントが重なり、貯金額にも幅が出てくる。調査によると、30代の金融資産保有額は以下の通り。
世帯区分 | 平均値 | 中央値 |
単身世帯 | 約912万円 | 約300万円 |
2人以上世帯 | 約856万円 | 約337万円 |
総世帯 | 約599万円 | 約130万円 |
平均では900万円近い数値も見られるが、こちらもごく一部の高貯蓄層の影響が大きく、中央値はその半分以下にとどまっていることが分かる。
30代は将来を見据えた資産形成のスタート地点といえる。たとえば、30代のうちに500万円の貯金を目指すことは、住宅購入時の頭金や教育資金、老後の備えとして有効な目標になる。無理なくコツコツ積み立てていけば、達成可能な現実的なラインといえるだろう。
平均と中央値、どちらを参考にするべき?
数字を見るときに大切なのは、平均値だけで判断しないこと。平均値は一部の人の影響で大きく変動するため、自分の貯金状況と乖離してしまうことがあります。
一方で、中央値はすべてのデータを並べたときのちょうど真ん中の値であり、「一般的な水準」を知るには適している。貯金額を評価するときは、中央値を参考にして、自分に合った目標を立てるのが現実的。
「平均より少ないからダメ」と落ち込むのではなく、「自分の生活に無理のないペースで貯めているかどうか」に目を向けていくことが大事。
比較するときに気をつけたいポイント
貯金額は、住んでいる地域や家族構成、年収、生活スタイル、働き方などさまざまな要因によって変わってくる。たとえば、地方で持ち家に住んでいる人と、都市部で家賃を払っている人では、同じ収入でも貯金に回せる金額は大きく異なる。
また、正社員で安定収入がある人と、フリーランスで収入が変動する人とでは、貯金の計画の立て方にも違いが出る。子どもの人数や教育方針によっても必要な資金は変わってくる。
SNSなどで見かける「月○万円貯金した!」というような投稿に焦らされることなく、一歩引いて冷静に、自分にとっての適正なペースと金額を見極めることが大切。
まとめ|「人と比べない貯金」が続けるコツ
この記事では、20代と30代の貯金額について、平均値と中央値の両方を紹介しました。20代の中央値は10万円〜100万円台、30代は100万円台〜300万円台が目安とされている。
平均値は参考程度にとどめ、実態に近い中央値をもとに自分の目標を考えていくと、より納得のいく家計管理ができるはず。
そして何より大切なのは、他人と比べることではなく、自分の暮らしに合った貯金スタイルを見つけること。たとえば、30代で500万円を目指すことは、多くの人にとってちょうどよい現実的なゴールになると思う。
今日からでも、千円からでも始められるのが貯金の良いところ。たとえば、つみたてNISAや定期預金など、少額から取り組める制度も活用しながら、自分らしいペースで資産を築いていこう。
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