元・世界一幸せな国、ブータンの話

日常・コラム

「知らなかった幸せ」と「知ったあと」の心のあり方

「ブータンは世界一幸せな国」――そんなフレーズを耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。ブータンは、豊かな自然と穏やかな暮らし、そして「GNH(国民総幸福量)」という独自の価値観を持つことで、世界的に注目されました。

でも、実は「世界一幸せだった」理由には、こんな背景もあるといわれています。

比較する相手がいなければ、人は幸せになれる?

ブータンの人々が「幸せ」だと感じていたのは、ある意味で「外の世界を知らなかったから」ともいわれています。近隣国のような豪華なライフスタイル、先進的なテクノロジー、華やかな都会の暮らし……そういった「他者との比較対象」がありませんでした。

ところが、インターネットやテレビが普及し、周囲の国々の豊かな暮らしを知るようになってから、「自分たちは貧しいのかもしれない」「あれが幸せなのかもしれない」と、自分たちの生活に対して疑問や不満を抱く人が増えていったといいます。

それは、決してブータンだけの話ではありません。

私たちも、似たような経験をしている

SNSで他人の暮らしをのぞくことが当たり前になった今、「比べて落ち込む」ことに心当たりがある人は多いのではないでしょうか。

  • 友人がハワイ旅行に行っていた

  • 同年代の知人がマイホームを買っていた

  • 自分より年下が高級車に乗っていた

こうした出来事を見るたびに、「自分は何も持っていない」「自分は幸せじゃないのかも」と思ってしまうことがあります。

でも、これはあくまで“他人の幸せ”であって、“自分の幸せ”とはまた別の話。そう頭ではわかっていても、つい心が揺れてしまうものです。

比較は避けられない。だからこそ「使い方」が大事

ブータンの例も、私たちの生活も、「比較」が生まれることで幸福感に影響が出るのは確かです。でも、それをすべてネガティブに捉える必要はありません。

たとえば、「自分もいつか旅行に行けるように頑張ろう」「あんな暮らしに近づくために、今の自分にできることを探してみよう」と、他人との違いを“刺激”として受け取ることもできるのです。

つまり、比べることをきっかけに、自分の行動や価値観を見直すこともできるということ。

大事なのは、「今ある幸せ」にも目を向けること

他人と比べることが悪いわけではありません。でも、「他人と違う=自分が劣っている」ではないんです。

  • 目の前にいる家族と笑い合える時間

  • 子どもの寝顔に癒されるひととき

  • コンビニの新作スイーツに小さな幸せを感じる瞬間

そんなささやかな幸せを、ちゃんと受け取れていることも、十分「幸せの証」です。

そしてその上で、「もっとこうなりたい」「こういう生活に近づきたい」という気持ちが湧いたなら、それは前に進むための“エンジン”にすればいいのです。

比較に振り回されない、「前向きな比較」を!

ブータンの幸福度が下がったのは、「知らなかった世界」を知ってしまったことが原因とも言われています。でも、私たちはもう最初から知っています。

知っているからこそ、比べる機会も多いけれど、知っているからこそ、その情報をどう使うかを選べる自由も持っているはずです。

「自分はこれから、たくさん幸せをつくっていってやる!」

そんな視点で、今日からの自分を奮い立たせて、全力で生きてみるのも悪くないのではないでしょうか。

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