「我慢強い人がえらい」「欲望に負けるのはダメ」 そんなふうに育ってきた人は多いと思う。 でも本当に、我慢し続けることが正解なんだろうか?
我慢はときに必要だけど、過剰になると心や体をむしばむ。 「がんばりすぎ」「気をつかいすぎ」「遠慮しすぎ」 そういう“良かれと思って”の我慢が、自分自身を苦しめることがある。
この記事では、「我慢しすぎない方がうまくいく理由」と「バランスの取り方」について、暮らしや気持ちの面から考えてみたい。
我慢しすぎると起こること
ストレスがたまる
小さな我慢の積み重ねが、気づかぬうちに大きなストレスになる。 「これくらい我慢しよう」と思ったことも、積もれば山になる。 我慢の癖がある人は、知らず知らずのうちに慢性的なストレス状態に陥りやすい。
自分の気持ちがわからなくなる
「やりたい」「欲しい」という気持ちすら抑え込むクセがつくと、 本当に大事なことがわからなくなってくる。 選択の軸が“他人の目”になってしまい、 自分の内側にある感情を無視するようになる。
爆発する(感情・体調)
我慢しすぎた人ほど、ある日突然プツンと糸が切れる。 それは「自分をずっと置き去りにしてきた」結果かもしれない。 言いたいことをずっと我慢していた人が、ある日突然怒鳴ったり泣いたりするのは、 決して“感情的な人”だからじゃなく、長く我慢してきた証拠だ。
我慢していることにすら気づいていない人もいる
我慢には「目に見える我慢」と「自分でも気づかない我慢」がある。
たとえば…
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いつも他人に合わせてしまう(本当は断りたい)
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欲しいものを「高いから」と諦める(でも後で後悔)
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「こうしたい」があるのに、周囲の空気で言い出せない
こうした“無意識の我慢”が続くと、 人生が「なんとなくつまらないもの」になってしまう。 毎日が淡々と過ぎていき、「楽しい」「嬉しい」と思える瞬間が減っていく。
特にまじめで気づかいができる人ほど、自分が我慢していることに気づきにくい。 でも、そんな人ほど本来の魅力を発揮できていないことが多い。
我慢をやめたら得られるもの
心が軽くなる
小さな「好き」「快適」を取り戻すだけで、毎日が少し楽しくなる。 たとえば、お気に入りの服を着たり、ちょっとした贅沢を楽しんだり。 「これでいいんだ」と思えると、不思議と気持ちがふわっと軽くなる。
自分の軸が見えてくる
我慢ではなく「選ぶ」という感覚が育つと、 本当に大事なものを見極められるようになる。 誰かに言われたから、みんながやっているから、ではなく、 「自分はどうしたいか」をベースに行動できるようになる。
人間関係も変わってくる
無理して合わせるのをやめると、自然と「心地よい人間関係」が残る。 我慢でつながっていた関係は、長くは続かない。 一方で、本音を話せる関係はどんどん深まっていく。 相手の機嫌を取るのではなく、自分の心と向き合うことが、良い関係の第一歩になる。
我慢を手放すためにできること
自分の「嫌」を大事にする
「嫌だ」と思った感情はスルーしない。 それは心からのサインだから、見ないふりしない。 「この人といると疲れる」「本当はこうしたくない」と思ったら、 それを受け止めて、自分を守る行動をとっていい。
小さな「好き」を取り戻す
我慢せずに飲んだ1杯のコーヒー、買ったお気に入りの文具。 そんな“小さな満足”が人生の質を上げてくれる。 完璧じゃなくていいから、「自分を喜ばせること」を日常に増やしていこう。
他人の評価を基準にしない
「誰かにどう思われるか」よりも「自分がどう感じるか」に集中する。 それが、我慢しない生き方の第一歩。 他人の期待に応えようとしすぎると、いつの間にか自分の気持ちが置き去りになる。
我慢と節約のバランスについて
節約も、やりすぎると我慢の連続になる。
「少しでもお金を使わないように」と何でも我慢していると、 心のゆとりまで失ってしまう。
たとえば、
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好きなカフェにも行けない
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ちょっとしたご褒美も買えない
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安さだけで食事を選び続けてしまう
そんな生活が続くと、 “貯まっているのに満たされない”という不思議な状態になる。 お金は残っていても、心が空っぽになってしまう。
節約は、未来の安心のために必要なこと。 でも、それは“我慢の積み重ね”ではなく、 “納得のいくお金の使い方”であるべきだと思う。
心の余白や楽しみを大事にする節約こそ、長続きするし幸福感もある。 たまには「これは今の自分にとって大事」と思えるものに、お金を使ってもいい。 使うこと=悪ではない。大切なのは“使い方”だと思う。
それでも我慢が必要なときもある
もちろん、すべてを欲望のままに生きればいいという話じゃない。 社会の中で生きていく以上、ある程度の「調整力」は必要。
ただし、それは“自分を犠牲にする我慢”じゃなくて、 “納得のいく選択”であるべきだと思う。
たとえば仕事や子育ての場面では、やりたくないことも出てくる。 でも「誰かのために今はがんばろう」と思えているなら、 それは前向きな選択だ。 我慢と納得は、似ているようでまったく違う。
おわりに:我慢しない自分をゆるす
我慢をやめたからこそ、自分の本音に気づけた。 自分のペースで生きられるようになった。 そういう人は、ちゃんと周りも大切にできるようになる。
だから、我慢している自分に気づいたら、 「そんなに頑張らなくていい」と声をかけてあげてほしい。
我慢しないことは、わがままではない。 自分に正直に生きること。 その姿勢が、まわりの人にも安心や優しさを伝えていく。
無理せず、遠慮せず、ちょっとずつ自分の「心地よさ」に正直になっていこう。
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